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聖書に由来する英語のイディオム(4)
前回予告したとおり、今回は、イエスの教えに由来するイディオムを取り上げます。

イディオムその4 turn the other cheek

Oxford Dictionary of English (ODE)でこのイディオムを調べると、"refrain from retaliating when one has been attacked or insulted" (攻撃されたり侮辱されたりした時に、報復しないこと)と定義されています。"refrain from"は、「意図的に、何かをしないことに決める」という意味です。

このイディオムの出所は、新約聖書の「マタイの福音書」です。この福音書の5章から7章は、「山上の垂訓」または「山上の説教」と呼ばれている、非常に有名な箇所ですが、その中でイエスは次のように述べています。

You have heard that it was said, "Eye for eye, and tooth for tooth. " But I tell you, Do not resist an evil person. If someone strikes you on the right cheek, turn to him the other also. And if someone wants to sue you and take your tunic, let him have your cloak as well. If someone forces you to go one mile, go with him two miles. Give to the one who asks you, and do not turn away from the one who wants to borrow from you. (Matthew 5:38-42)



『目には目で、歯には歯で』と言われたのを、あなたがたは聞いています。しかし、わたしはあなたがたに言います。悪い者に手向かってはいけません。あなたの右の頬を打つような者には、左の頬も向けなさい。あなたを告訴して下着を取ろうとする者には、上着もやりなさい。あなたに一ミリオン行けと強いるような者とは、いっしょに二ミリオン行きなさい。求める者には与え、借りようとする者は断らないようにしなさい。(マタイ5:38~42)



旧約聖書に出てくる、"eye for eye, and tooth for tooth"は、前回ご説明したように、無制限報復に制限を加えるために定められたおきてでした。しかし、イエスは反目や争いを終わらせるために全く別の道を示された、と「新改訳聖書」の注解に書いてあります。それが、"turn the other cheek"なのです。

この教えはしばしば誤解されるようで、ある人はこれは「奴隷の道徳」だと著書に書いていました。確かに、相手を怖れるあまり手向かわず、頬を打たれても怒りを抑えて黙って耐え忍ぶ、というのなら「奴隷の道徳」かもしれませんが、"turn the other cheek"はそのような受身の態度ではなく、「自分の意志で、そうすることに決める」というかなり積極的な姿勢です。普通の人間なら、頬を打たれたら怒って殴り返すでしょうが、怒ることも殴り返すこともせずに、そして相手を怖れずに左の頬を向けるには、非常に強い意志と勇気が必要なのではないでしょうか。

同様に、下着を取ろうとする者に、逆らうと怖いと思ってただ取られるに任せるのではなく、上着もやり、1ミリオン(約1500メートル)行け、と言われたら、ただ唯々諾々と従うのではなく、2ミリオン行くことも、能動的な決然とした行為で、非常に強い意志が必要だと思います。

次回は、「山上の垂訓」の最初の部分、「至福の教え」を英語と日本語で読みたいと思います。これは、英語で読むほうがずっと分かりやすいと思います。どうぞお楽しみに。
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テーマ:英語 - ジャンル:学問・文化・芸術

【2006/10/26 22:19】 | イディオム | トラックバック(0) | コメント(1)
<<The Beatitudes(「至福の教え」)(1) | ホーム | 聖書に由来する英語のイディオム(3)>>
コメント
以前指摘されたことを書いておきます。「右の頬を打たれたら左の頬を向けるには強い意志の力が必要だ」と書きましたが、これは普通、意志の力があってもできることではありませんね。
【2007/01/03 17:36】 URL | crape myrtle #-[ 編集]
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英語と日本語で聖書を読む


英語の聖書と日本語の聖書(新改訳)の両方について、私なりに理解したことや、聖句によって教えられたことなどを書いていくつもりです。読者の皆さんにとっては、英語の勉強にもなると思います。

プロフィール

crape myrtle

Author:crape myrtle
企業の英語研修や、成人対象の英会話クラスなどの講師をしています。2006年の4月から本格的に聖書を読み始めました。聖書は英語で読んだほうが日本語で読むよりも理解しやすい場合が多いような気がします。

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